名駅のハナノキ
◼️2017年4月4日(火)晴れ
展葉前開花タイプのラッシュが続いている。
世の花と較べればたいへん地味で、おそらくここを通る何千何万の人達のほとんどに、見向きもされない。
植物の世界を広く見渡せば、一般的な「花」のイメージとかけ離れた花を咲かせる分類群は多く存在する。カエデ類もそのうちのひとつ。
葉が出る前に花を咲かせるこの種は、遠目から見れば、赤い枝の木にしか見えない。
しかし、よくよく見れば、れっきとした花だということが分かる。
ムクロジ科カエデ属
ハナノキ Acer pycnanthum
雌雄異株であり、葯が見えるためこれは雄株。
雌株もきっとあるはず…と探してみたところ、
案の定、あった。
雌しべと翼が見える。
花柄は長く、垂れ下がる。
桜通のシデコブシ
◼️2017年4月3日(月)晴れ
桜通 久屋大通駅付近
街路樹系モクレン科で、白色の花を展葉前に咲かせる種は、コブシとハクモクレン。また、ピンク色のイメージが強いシデコブシも、場合によっては白色系の花を咲かせるらしい。
通りすがった刹那、コブシだろうとおもいきや、
なんとシデコブシだった。
名古屋市は、街路樹に希少種を用いる傾向があるらしい。
コブシとは、花被片の数で区別する。
花被片は花弁と萼の総称であり、モクレン科のように双方の区別がつかない分類群においては、花びらみたいなものをそのように呼ぶらしい。
簡単に言えば、花被片が6枚に見えたらコブシ、9枚以上あるように見えたらシデコブシ。
たくさんついている。
シデコブシ Magnolia stellata
大草のマメナシ
◼️2017年3月31日(金)曇り
小牧市大草 太良上池畔
寒い。
このあたり一帯が「大草の自生地」にあたるらしいのだが、とにかくまったく花が咲いていない。シデコブシ同様、若干早かったようだ。
マメナシはたいへん希少な種であり、この大草の自生地は愛知県の天然記念物に指定されている。
希少な要因はいくつかあり、
①まずそもそも、国内では東海地方にしか分布していない。
②そして、生育環境が湿地に限られており、放っておくと植生遷移が進んでしまう。
陰樹が優占化してくると、やがて自然消滅する。
③また、草木が生い茂るだけのなんでもない土地は、よほどの山奥でもない限り、開発の対象とされ次々と姿を変えていった。
ゆえに、愛知、岐阜、三重の、ごく限られた場所にしか自生していない。
とりあえず開花までもうしばらくはかかりそう。
みろくの森のシデコブシ
◼️2017年3月26日(日)雨
みろくの森
今年の冬は寒い。
他の観察者の方に聞くと、例年だといまごろは満開とのこと。
しかし全く咲いていない。
株数はそこそこみられるものの、
開花には、いますこし日数がかかりそう。
斜面の、日当りの良さそうなあたりにて、開花している株をかろうじて発見。
シデコブシ Magnolia stellata
◼️可憐なショウジョウバカマ
その中で、もっとも特徴的で、一度見たら忘れられない形をしているのが、ショウジョウバカマだ。
シュロソウ科ショウジョウバカマ属
ショウジョウバカマ Heloniopsis orientalis
落葉樹林の林床に、延々と咲き渡っていた。
希少種シンポジウム聴講
2017年3月25日(土)晴れ
なごや生物多様性センター主催
希少種シンポジウム2017
『レッドリストのひみつ!』
聴講レポート
※ これはあくまで自分の理解度を整理したものです
◼️「レッドリストってなんだろうか?」
維管束植物専門
①生物多様性の損失はなぜ問題なのか?
坑道のカナリア論、リベット論、生態系サービス論など生物主体の理論は、社会的な観点からはいずれも反論できる。社会的観点からの問題提起が必要。すなわち、生物多様性は資源であり、資源利用が限界に達したら、争いが起きてしまう。
②それはどのように解決すればよいか?
赤信号リストを作って、資源枯渇に歯止めをかけることが必要。=レッドリストの作成
◼️「レッドリスト、どうやって評価をつけるのか?」
谷口義則先生(名城大学准教授)
魚類専門
①決まった方法があるのか?
ない。マニュアルの統一化がなされておらず、各都道府県市町村で評価の基準がバラバラ。ゆえに、文言の捉え方に個人差が出たり、調査努力量によって結果が変わってきてしまう。また、未評価種の割合が分類群間で異なり、分類群によっては、リストの対象にすらなっていない種が多い。
②現状の評価の方法例
より精度の高いリストを作るために行ったこと
◎定量的な調査をがむしゃらにやった
=調査努力量の増加
◎各分野(汽水,中流など)の専門家を集めた
=調査者の増加
◎最終的には、投票+議論により、作成
◼️感想
芹沢先生の第1章が根本的なお話、谷口先生の第2章が具体的なお話と、明確に章立てられていて、シンポジウムとしての構成、主旨が大変分かりやすく、ストレートに理解に通じたと思う。
また両先生共、教科書的な解説にとどまらず、この分野の問題点を、ご自身の経験に基づいたリアルな言葉で語られていた。