大草のマメナシ②
◼️2017年4月11日(火)雨
小牧大草 太良上池
後継者のいなくなった農耕地や、ただただ草木が生えてるだけの土地は、現代社会の人間にとって、何の役にも立たない。そのような土地は、工業団地か住宅街に変えて、より高度な社会を築くべきだ。
我々人間は、日本人は、それこそが社会にとって善なるものであると信じ、繰り返してきた。
一方、その背景では、生活場所を破壊された戦下の難民のごとく、数々の生物種にとって生息地生育地が失われ、絶滅危惧種という難民たちが誕生した。
この難民たちを受け入れるか拒否するか。いま日本人は、その度量の大きさを試されているのかもしれない。
そもそも、そこに住む地域の人達は比較的寛容であり、この難民を守り、存続を図りたい、という思いが、魂が、伝わってくるような気がする。
展葉と同時に開花する。
さえぎるものが無いので、よく観察できる。
ただし、自生地への立ち入りは禁止されているため、間近での観察は困難。
間近で見られる株は無いかと探してみたところ、こういう株があった。
花序は、サクラと同様で、散形状。
葯が赤褐色。
バラ科ナシ属
マメナシ Pyrus calleryana
愛知県レッドリスト:絶滅危惧ⅠA類
東谷山のシデコブシ
◼️2017年4月5日(水)晴れ
東谷山 南登路周辺
みろくの森のある春日井東部丘陵の、庄内川を挟んだ対岸に、名古屋市唯一の山岳、東谷山が存在する。麓ギリギリまで志段味地区の開発の手が迫っているのだが、山域内には比較的森林が残っている。
みろくの森からそう遠くはないこの地にも、東海の希少種のマスコット的な存在であるこの種が生育している。
まずは県道沿いで発見。
1箇所に数株が見られるだけ。
植生遷移は進行気味であり、競合種が多数。
花被片は10枚以上。
シデコブシ Magnolia stellata
続いて、南登山道。
こちらは小川沿いの生育地。
周囲には水が流れており、比較的他の植物が侵入しずらい。
すれ違ったベテランの方が言うには、今年は花が少ないとのこと。確かに、本種と思しき株は多く見られるものの、花の咲いている株は少なかった。
小牧山の照葉樹林②
◼️2017年4月5日(水)晴れ
小牧山の斜面にはいくつもの登頂ルートが作られており、植物観察に向いている。標識も各所に設置されているので、迷う心配もない。
林内の低木層には、比較的多様な植物が見られる。
神事に用いる、
モッコク科サカキ属
サカキ Cleyera japonica
サカキの代用品、
モッコク科ヒサカキ属
ヒサカキ Eurya japonica
雌雄異株。葯が見えるため、この株は雄株。
花柱が見えるため、この株は雌株。
葉表
サカキが全縁であるのに対し、ヒサカキには浅い鋸歯がある。
続いて、青々と茂る、
ガリア科アオキ属
アオキ Aucuba japonica
この種も雌雄異株。
花柱のみが見えるため、この株は雌株。
葯のみが見えるため、この株は雄株。
以上の3種に注目してみたが、これらはいずれも株数が多く、照葉樹林のレギュラー級の構成員と言えよう。もうしばらくすると、サカキの花期、アオキの果実期が訪れる。引き続き観察していきたい。